抗酸化物抗酸化物人間の身体が鉄と同じように錆びるというのをご存知だと思う。 その原因は活性酸素等のフリーラジカルが人間の身体を攻撃するからである。 ただ、それに対して人間の身体は無防備かというとそうではない。 活性酸素に対抗して人間の身体を守るスカベンジャーと称する抗酸化物が存在する。 この種類にはいろいろあるが、その中で最近特に注目されているのが、ビタミンC,ビタミンE,コエンザイムQ10、リポ酸、グルタチオンである。 この5種類の抗酸化物は抗酸化防禦ネットワークを形成し、お互いに協力しあって、抗酸化作用を発揮している。 それぞれの主なる作用を見てみよう。 ビタミンE 脂溶性のビタミンEは細胞内にはほんの少量しか存在しない抗酸化物である。 我々はそれを食事から摂取しなければならない。 ビタミンEがフリーラジカルと反応してその毒性を失わさせると自身はフリーラジカル(ビタミンEラジカル)になってしまう。 しかしこのラジカルは有毒ではなく、ビタミンCやコエンザイムQ10によって抗酸化能を有するビタミンEに再生される。 最近の研究でビタミンEは心臓病を予防し、前立腺癌の危険性を減少させ、アルツハイマー病の進行を遅くする事が示唆されている。 ビタミンC ノーベル賞受賞者ライナス・ポーリングは水溶性抗酸化物質ビタミンCが風邪の予防薬となることを提言した。 ビタミンCは人の体内では作ることはできず、食事やサプリメントで摂取する必要がある。 ビタミンCのフリーラジカル消去作用は高く免疫系にとっても不可欠である。 ビタミンCを常用している人はそうでない人に比べ長寿で健康な生活を楽しめると考えられている。 コエンザイムQ10 ビタミンEと共同し、フリーラジカルによる細胞の脂質酸化反応を抑制する脂溶性分子である。 臨床的には虚血性心疾患、狭心症、高血圧に効果的である。また癌、パーキンソン病、アルツハイマー病にも有効である。 リポ酸 抗酸化物としては最近まで注目されなかったが抗酸化ネットワークの中で強力な作用をすることが分ってきた。 安全な糖尿病合併症の治療薬としては以前から用いられており、脳梗塞、心臓病の予防作用も持っている。 抗酸化ネットワークの中ではグルタチオンを著明に増加させることにより、貢献している。 グルタチオン 抗酸化ネットワークの中では最も多く存在し、食物に含まれるグルタミン酸、システイン、グリシンという3種類のアミノ酸から体内で合成される。 グルタチオンは抗酸化物質としてだけではなく、肝臓に大量に存在し解毒薬としても生体に貢献している。 これら抗酸化ネットワークと共に、その応援団として野菜など多くの食物に含まれるフラボノイドやノンフラボノイドなど4000種類以上のポリフェノールが、人体を守っている訳である。 |